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緊急リポート 消えた婚約者
1.失跡から45日、拉致監禁か 相思相愛の2人
2010.8.3 世界日報紙掲載
Nさんと婚約者菅野江里子さんの交換日記と江里子さんや両親に送られてきた手紙、絵はがき
慶応大学院を修了した男性NKさん(25)が、6月13日の深夜から14日未明にかけて東京都杉並区の自宅から失跡した。それから45日以上たつが、消息はつかめていない。
昨年9月、Nさんと婚約した菅野江里子さん(25)は悲嘆に暮れるばかりだ。2人は統一教会の信者で、Nさんは強制棄教を迫られ、脱会屋や両親に拉致監禁された疑いが濃厚だが、地元警察は「事件性はない」として積極的に動く様子が見られない。
髪を切ってCuteさが更にupしてしまったえりこさま。一瞬で(犬の目と鼻がハートマークになったイラスト)になりました。こうして2人でDATEできるなんて、何て幸せなんでしょう。ぴったり寄りそう二人は、二子玉(ニコタマ=東京・二子玉川)で「がぁがぁ食堂」で庶民派な中華をたんのうし、晴天の二子玉をお散歩♪…
失跡する1週間前6月5日の日付で、Nさんは江里子さんとの交換日記に、その日のデートの様子をこう書いた。
昨年9月の婚約時には、Nさんから「今後も、自分の本心に素直に、好きなことをやって、イキイキ輝く江里子さんであって欲しいと心から願うし、また自分もそうありたいと思います」という誓いの手紙をもらった。
どちらも真情あふれるものだが、この間「江里子さん」が「えりこさま」に変わったのがほほえましい。「常に人を思いやり、事をなす優しい人。ナイスガイです」と、江里子さん。相思相愛カップルに、何が起こったのか。
Nさんは慶大院修了後、塾の講師をし、今年都庁の採用試験に挑み勉強を続けていた。江里子さんは高校卒業後一時、就職したが、その後、大学神学部に入学、2年生を休学中。毎夜、携帯電話で、その日の出来事を話し合うのも2人の日課だった。
失跡前日は、ちょうど大学院修了者対象の都庁採用試験があった日だった。Nさんは電話で「う~ん、むつかしかったなあ」などと話したが、いつもの優しい口ぶりに変わったところはなかった。
翌14日。江里子さんが昼間、電話をするが携帯は留守電になっていた。今まで一度もなかったことだった。Nさんは東京都杉並区で両親と同居していた。メトロ丸の内線で荻窪駅の一駅手前、南阿佐ケ谷駅から10分ほど住宅街の一軒家である。「何かあったら必ず連絡をくれる人。体調でも崩してるのかなあ」と不安がよぎった。
翌朝、自宅に電話をした時も、誰も出なかった。
Nさんが講師をしていた学習塾に電話をかけると、「お父さんから『Nは緊急入院をした』という電話がありました」と驚くべき返事が返ってきた。江里子さんは埼玉県川口市の自宅からNさん宅に直行したが、自宅は鍵がかかっていて人の気配がなかった。車庫も空っぽだった。
「家人に頼まれ金魚の餌をやりに来た」と、ちょうどそこにやってきた人に尋ねると「家族で旅行です。どこに行っているのか分からない」と聞かされた。
緊急入院だ、旅行だ、何がなんだか訳が分からなくなってしまった。Nさんの父親の職場(大手通信会社)に電話すると、会社には欠勤届が出ていた。
「やはり拉致監禁か…」。その前兆はまったくなかったが、否が応でも頭に上ってきた言葉だった。江里子さんは、統一教会信徒の強制棄教を暴力的に進める脱会屋の中心人物が居住する杉並区を本拠にし、荻窪周辺の幾つものマンションで暗躍していることを承知していた。
Nさんは、6月下旬にあった都庁採用二次試験会場にも姿を見せなかった。江里子さんは「彼は都庁が第1志望でした。その試験日程があるのに、自分の意思で失跡することはあり得ない」と心配を募らせる。消息は不明のまま連絡がとれていない。
「あの日から時間が止まってしまった」。江里子さんは、Nさんの消息を求めて警察に相談し、教会、友人らに手助けを求めた。
(「宗教の自由」取材班)