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『財界にっぽん』5月号に、「週刊ポスト」裁判に関する記事
月刊誌『財界にっぽん』5月号に、宗教ジャーナリストの室生忠氏による「名誉棄損認め『週刊ポスト』に賠償命令でも原告が控訴した地裁判決の分かりにくさ(上)」と題する特別レポートが掲載されました。
『財界にっぽん』5月号表紙
記事は、(株)小学館が2010年5月24日発売した「週刊ポスト」内の特集記事「韓国農民にあてがわれた統一教会・合同結婚式日本人妻の『SEX地獄』」(本タイトル)「〈衝撃レポート〉北海道大学教授らの徹底調査で判明した戦慄の真実」(サブタイトル)について、統一教会が名誉棄損の訴えを起こした件をレポートしたものです。
記事が「理解しにくいものだった」と前置いた東京地裁による判決内容については、「判決の内容、妥当性については後述で詳細に検討する」として、先に問題記事に焦点を当てています。
先ず、「ポスト」編集部がその「体裁を気にし」「記事の権威づけに利用」した書籍『統一教会 日本宣教の戦略と韓日祝福』(北海道大学出版刊:櫻井義秀・北海道大学教授、中西尋子・関西学院大学非常勤講師共著)について、実際には「日本人妻の性生活をメインテーマにした箇所は存在しない」と指摘。それにもかかわらず、「『〈衝撃リポート〉北海道大学教授らの徹底調査で判明した戦慄の真実』なるサブタイトルをつけ、さらに本文で書籍『統一教会』を紹介する文脈を採って、読者に、あたかも同書が日本人妻の『SEX地獄』を調査報告したかのような印象を与えようと努めている」と指弾しています。
一方で、宗教社会学者である中西講師が、過去に複数の在韓日本人妻を対象に、韓国での生活や信仰について聞き取り調査を行った際、信者から「問わず語りに夫婦生活に関する感想や愚痴が、方言隻句に出されたことがあった」ことに目を付けた「ポスト」取材班が、「SEX地獄」というタイトルに沿って、在韓の日本人妻の性生活をテーマとした記事を書くために、中西講師の調査対象複数人の断片的発言を寄せ集め、「"農村在住で韓国人夫のSEX要求に苦しむ『Aさん』〝なる架空の人物を創作」したことを指摘。「複数の発言をその一人の証言、体験に集約することは『編集技術』と呼べるものではなく許されない。明らかにニュアンス操作であり、この手法が認められるなら、片言隻句を恣意的に寄せ集めたどんなコメントの創作、記述も可能だろう」と批判しています。
また「中西講師は、裁判所に提出した『陳述書』で〈夫婦生活そのものについては、先にも述べたように私の関心から外れる事柄であり、常識からいっても本来聞くべき事柄ではないと思っていますから、私のほうからは一切質問していません〉、〈私は聞き取り調査をする中で夫婦生活については質問しませんでした〉と繰り返し強調している」ことも付け加えながら、「一連の経緯によってだけでも、この記事がいかに恣意的、意図的に作られたものであるかが理解される」と述べています。
なお、記事の取材・執筆を担当した角田洋平記者が、架空の人物を創作した理由として「編集上、一人にした方が読者にもわかりやすい」「個人が特定される心配を回避できる」と説明したことに対しては、「『読者にもわかりやすい』か否かは、記者の筆力の問題で架空人物創作の言い訳にはならない。また個人特定の回避は、短い証言を繋ぎ合わせる程度で可能になるものではなく、実際、統一教会は『Aさん』構成に利用された信者3人をすべて特定した」と断じ、「角田記者が『Aさん』なる架空人物に信者3人の短いエピソードを集約した真の目的は、記事のインパクトを強めるためと考えざるを得ない。バラバラの短い話を並べても散漫で、読者の受ける印象は『SEX地獄』のインパクトにならない。だが、一人の体験として書けば、架空人物『Aさん』の存在が強調されて『SEX地獄』記事のコアになる」と悪質な偏向記事を一刀両断しています。
続いて記事では、そのような黒い思惑に従い、「架空の『Aさん』にエピソードを集約したことも、〈それぞれの人は確かに存在し、これらの人から話を聞いているのでその発言をとりあげることに反対しませんでした〉と容認」した中西講師について、「まことに不思議な価値観といわなければならない」と疑問を提示。その上で「調査対象が漏らした性生活のエピソードは、"学者〝の矜持からか『自分の聞くべき話ではない』と考えて書籍『統一教会』に記述しなかった。だが一方で、その゛自分が聞くべきでない話〝を週刊誌記者の求めに応じて公にしたばかりか、自分の情報提供と明記されることも、架空人物に集約されることも容認した。中西講師は自分が行った、前者と後者の態度選択の落差に気づいているのだろうか」と強く批判しています。
さらに末尾では、中西講師が 同裁判の証人として出廷することを「抗議を受け、何をされるかわからないという身の危険さえ感じています」(「陳述書」)と述べ拒否していることについて、「"学者〝として週刊誌の取材に応じて氏名の明記を許し、記者による架空人物の創作をも容認しておきながら、抗議されて不安だから証人出廷するのは嫌だでは、無責任すぎて話が通るまい。『身の危険さえ感じています』などといかにも被害者を装う言い草は、もはや中傷そのものである」と追及の筆をゆるめずに、4ページわたる記事をくくっています。
(同記事は、『財界にっぽん』次号・6月号に「下」が連載される予定です)
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