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“拉致監禁”の連鎖(202) 「青春を返せ裁判」法廷証言から(2) 海外のシンポで発言封じ
海外のシンポで発言封じ
日本の強制改宗の実情を訴える米国ラリーで、女性被害者とともに行動する国際宗教自由連合(ICRF)のダン・フェッファーマン会長(左)=2010年11月
信教の自由を侵す強制改宗・拉致監禁の事実の認否をめぐる、告発サイドと虚構説サイドの国際会議場を舞台にしての攻防ルポを続ける。
「我々がいつディプログラマー(強制棄教者)を擁護したんだ! それは侮辱だ」――。
昨年7月、カナダのモントリオールで開かれた「ICSA(国際カルト研究協会)2012国際会議」でのこと。日本人男性のいきり立つような大声が会場に響きわたり、参加者を驚かせた。
会議に出席した統一教会系のNGO国際宗教自由連合(ICRF)のダン・フェッファーマン会長が問題提起を行った。その中で「ローデイル賞を、ディプログラマーを擁護する弁護士(注・「全国霊感商法対策弁護士連絡会」)に与えたことは、ディプログラミング(強制棄教)に反対する立場のICSAとしては矛盾ではないか」と指摘した直後のことだった。
男性は、日本では強制棄教は起きていないと主張する拉致虚構派の一人、山口貴士弁護士。ダン会長の「ディプログラマー擁護」という指摘が、よほど癇に障ったのか、発言の最中に割り込んで、ぶしつけな不規則発言を飛ばしたのだ。
先のダン会長が言及した「ローデイル賞」は、長年ICSAのディレクターを務めた人物の名を冠した賞のこと。会議初日に行ったダン会長の発表の場に、聴衆の一人として参加していたのが山口弁護士だった。
一方、山口弁護士は、ダン会長が発言した翌日、「私の考える宗教的なインフォームド・コンセント」をテーマに発表を行った。その内容をかいつまんでまとめると、宗教伝道においては、相手に、その宗教の教義を教え込む前に、グループ名、基本的な教え(本だけでなく実際の教え)、実際の信者の義務、ライフスタイルなどを伝えなければ違法だ、というもの。
グループ名を教えないことは問題だが、他の項目が、伝道という宗教的実践において、現実にどの程度まで可能なものかは必ずしも明白ではない。
しかし、仮にその主張を認めるとして、「はて?」と強く疑問に思うことが出てくる。
その宗教を信仰するか、どうかについて「インフォームド・コンセント」が必要なように、信仰を棄てるかどうか、棄教に言及するときも、信仰している本人に対して、同様の「インフォームド・コンセント」がなければならないのは明らかだ。
「インフォームド・コンセント」はもともと、生命倫理をめぐる医療用語で、「患者の同意なくして医師が治療を行うことは許されない」(「現代用語の基礎知識」)という含意がある。それを敷衍化して棄教を勧める場合、棄教目的の話し合いであることを事前に伝え、与えられた情報について本人が自由に考え、その正邪を確認できる手段がなければならない。
だが、拉致監禁虚構派が「拉致監禁ではなく保護説得」だとするその実態はどうなのか。
次回から、棄教した当人が自ら口にした「保護説得」の実態について、驚くべき証言を明らかにしていく。
(「宗教の自由」取材班)
-つづく-