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“拉致監禁”の連鎖(201) 「青春を返せ裁判」法廷証言から(1)
信教の自由を侵す強制改宗・拉致監禁の事実が「国境なき人権」の調査報告書などにより世界で認知されるようになってきたが、その一方で、この問題が国内で刑事訴訟の俎上に載ったことがないという理由で、「拉致監禁は虚構」という主張もまかり通っている。だが、過去の裁判記録を見ると、脱会屋や牧師、両親・親族に迫られ棄教し、最終的に統一教会を提訴した原告の中にも、宣誓した法廷で拉致監禁された自身の事実をありのまま証言している人たちがいる。札幌地裁で昭和62(1987)年から平成13(2001)年まで続いた、いわゆる「青春を返せ裁判」の法廷証言から問題の実態を改めて検証する。
(「宗教の自由」取材班)
海外で拉致監禁否定に躍起
昨年7月の「ICSA(国際カルト研究協会)2012国際会議」で問題提起する国際宗教自由連合(ICRF)のダン・フェッファーマン会長
「日本の強制棄教は米国よりも歴史が古く、統一教会信者に対するそれは1960年代から約4300名に達して、現在も年間十数件の被害が出ています。警察は長期間の監禁にも容認的で、棄教強要者は『脱会カウンセラー』として背後から親族を操っています」
平成22(2010)年9月9日から3日間、イタリア・トリノ市で「変貌する神々-宗教と日常生活」をメーンテーマに「『CESNUR(新宗教研究センター)』2010年国際会議」が開催された。この会議に出席した統一教会系のNGO国際宗教自由連合(ICRF)のダン・フェッファーマン会長は、冒頭のように問題提起した。
これに対し、質疑応答の時間に、質問でなくコメントを強行したのが「全国霊感商法対策弁護士連絡会」のメンバーの一人、山口貴士弁護士だった。
<日本には報道機関があり言論の自由があり、NGOもある。もし強制棄教の多発が本当なら、それらが関心をもつはずだが、どこも無関心だ。大衆も話題にしていない。日本で強制棄教として法的に訴えられたケースはこれまで30件ほどにすぎず、2000年以降は私の知るかぎり2件だけだ。
強制棄教のキャンペーンは、私の個人的な意見としては、統一教会による違法な販売行為への警察の捜索から、大衆の目をそらすためにすぎない。ダン・フェッファーマン氏の言ったことは真実ではないと思う>
また、同じ年の7月に、米国ニュージャージー州フォートリーで開かれた「ICSA(国際カルト研究協会)」の国際会議では、こんなひとこまがあった。
会議に出席した“拉致虚構派”の一人、紀藤正樹弁護士がプレゼンテーションし、拉致監禁問題に言及し次のような発言をした。
<親がやり過ぎるケースは世界のどこにでもある。日本にもそうしたケースはあるが、弁護士や牧師がかかわっているケースで拉致監禁はない。霊感商法は教団による組織的な事件だが、拉致監禁は偶発的なもので、たまたま親がやり過ぎてしまったケースが違法行為として認められている>
ICSAは世界最大の反カルト団体として知られ、反宗教的な色彩が強かったのを修正し、近年は学術機関を標榜し変身を図っている。
新宗教学者らが参加する海外の国際会議に出向き、拉致監禁問題で、「偶発的なもの」などと釈明しなければならないのは、統一教会側が真正面から問題提起し始めたことで批判が高まってきたから。拉致監禁の存在を否定してきた山口、紀藤弁護士ら拉致虚構派の対応ぶりに焦りが見え隠れしている。
-つづく-