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“拉致監禁”の連鎖(198) 米専門家に広がる非難の動き
米専門家に広がる非難の動き
美山きよみさんら拉致被害者たちが米連邦議会議員の事務所で米国務省の国際宗教自由担当者と会った2日後、今度は国務省内で国際宗教自由担当大使のスーザン・クック氏が面会した。
既にクック氏は、日本における拉致監禁問題の概要を国務省の担当者から聞いていたが、美山さんが拉致監禁の非道さを切々と訴えると、熱心に聞き入った。
そして、「国境なき人権のように、ほかの宗教やNGOでもこの問題を訴えるところが出てきたらいい」と強調し、拉致監禁の問題解決に協力する姿勢を見せた。
「大使」の権限を持つ米政府高官に直接、被害者の声を届けられた意義は大きい。米国が拉致監禁問題を注視している、というメッセージを日本政府に示すことができるからだ。
美山さんは今年7月から8月にかけて再び訪米。今度は米国議会の議員や秘書など30人以上と会い、拉致監禁による人権侵害を訴えた。
また、米政府・議会の諮問機関である「米国国際宗教の自由委員会」が拉致監禁の被害者たちとの接触を求めてきたため、すぐに同委員会の委員たちと面会。拉致監禁の被害状況を説明すると、委員たちは「(拉致監禁に関する)新しい情報があればすぐに知らせてほしい。そうすればさまざまなところに掛け合うことができる」と語り、積極的に支援することを約束した。
こうした米国政府・関連機関の関係者に次々と面会できたことに、美山さんは「国境なき人権の報告書が公表された後、米国で拉致監禁に対する非難の動きが確実に出てきている」という思いを強くしたという。
被害者らは、人権活動に熱心に取り組んだ故トム・ラントス元米下院議員をしのんで作られた「トム・ラントス人権委員会」の中心メンバーにも会い、拉致監禁の被害を訴えて協力を求めた。
ほかにも、他宗教やNGO関係者たちが被害者らの声に耳を傾けるなど、「日本に拉致監禁という人権侵害があり、解決しなければならない」という声が米国の人権機関や団体、有識者の間で高まっている。
8月1日には、信教の自由侵害の実態を報告するシンポジウムがワシントンの米連邦議会で開かれた。
シンポジウムには「宗教自由のためのベケット基金」のティナ・ラミレス国際・政府担当部長や「人権のためのリーダーシップ協議会」のキャスリン・キャメロン・ポーター会長ら人権問題専門家たちが参加。拉致監禁問題をはじめ、民主主義国であることなどを理由に国際社会から見過ごされがちな宗教迫害について話し合われ、登壇者たちが「たとえ同盟国であっても米国は信教の自由を守るために毅然と対応すべき」との意見を表明した。
こうした動きは米国だけにとどまらない。欧州や国際機関でも、日本の拉致監禁問題に対する視線が確実に厳しくなっている。
(「宗教の自由」取材班)
-つづく-