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“拉致監禁”の連鎖(196) 日本政府に強く是正勧告
日本政府に強く是正勧告
「国境なき人権」の報告書「日本:棄教を目的とした拉致と拘束」の最終章は、日本政府と市民団体、国際社会に対して、強い勧告を行っている。
日本政府に対しては(1)法務省内に「宗教の自由に関するオンブズマン」を配置し、拉致および拘束によって宗教の自由が侵害されている状況を調査させる(2)国会は、被害者、国際的な人権専門家、法的基準に詳しい人権弁護士らを招いて、公聴会を開け(3)警察庁は独立の内部調査を実施し、拉致監禁の犯罪捜査を継続するとともに、過去になぜ捜査しなかったのか実態を究明すべきだ(4)拉致監禁の被害者たちに、公式に謝罪すべきである――など8つの勧告を行った。
国内外の市民団体などに対しては「日本国民は法律違反行為を当局に通報し、もし当局が不作為なら抗議をするなどして、同国民を拉致犯罪から守るべきだ」「ジャーナリストは家族による強要行為の事例を調査し、もっと世間に率直にアピールして、問題に対する認知度を高め議論を深めるべきだ」「日本国内および世界の人権団体はこの問題に言及し、(中略)事態の打開に必要な情報を公開し、また責任の所在を明らかにしていくべき」ことなどを求めている。
国際社会には「日本と双務的関係を持つ国々は、日本が国民を犯罪から保護できないでいることに懸念を表明すべきだ」「宗教・信条の自由に関する国連特別報告官は日本を訪れ、宗教団体のメンバーが拉致され、しかもその犯罪が取り締まられていない状況を調査し、この問題を人権理事会に報告すべきである」と勧告した。
報告書はまた、「日本における拉致・監禁または身体拘束、いわゆる『家族の話し合い』や成人に対する『保護』、新宗教の信者に対し強制的に脱会カウンセリングをする等の行為は、人権の原則とは相容れないものであり、断固非難されるべきだ」と強調。「日本政府は、国際的な人権文化と社会の法規ならびに法的諸制度が一致するよう一層の努力」を求めた上で、「国際的人権擁護義務に反するような国内の法執行機関や裁判所のあり方を是正すべきである」と要求している。
国境なき人権の調査を受けた拉致監禁被害者の男性は「国境なき人権に書かれた内容は公平な取材の結果であり、世界の目から見て当然の意見」と述べ、報告書を高く評価する。
一方で、被害者の中には「被害を調査・発表してくれる団体があることはありがたい」としながらも、いままで警察の取り締まりも司法の公正な判断もほとんどなかったことから「日本国内においてどの程度の影響があるのだろうか」「日本という社会は(人権団体の勧告ですぐ変わるような)生易しいものではないとも感じる」と、勧告の効力を疑問視する声もある。
それでも、国境なき人権の報告書によって、海外の政府機関、人権活動家らから日本の拉致監禁という犯罪に、厳しい視線が注がれるようになったことは確かだ。
日本政府や警察、司法機関が、信教の自由の侵害や拉致監禁という犯罪に対して毅然とした態度を取るようになるのか、注視される。
拉致監禁問題を解決するよう日本政府に強く勧告を行った国境なき人権のホームページ
(「宗教の自由」取材班)
-つづく-