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2012年11月17日

“拉致監禁”の連鎖(192) 新宗教への排斥感情広がる


続・世界からの指弾(6)

新宗教への排斥感情広がる

国境なき人権代表のフォートレ氏(右)の聞き取り調査を受ける後藤徹さん(後藤徹さん提供)


 62ページに及ぶ「国境なき人権」の報告書は、概略を説明した「論点の整理」とアーロン・ローズ氏の巻頭言に続き、「日本の宗教事情の概観」「現地調査の報告」「強制棄教を目的とした拉致と拘束、国際法の立場」「結語と勧告」の四章で構成。最もページ数を割いてるのは、12年以上監禁された後藤徹さんを中心に被害者らを調査して多くの資料を分析した結果を記した第二章「現地調査の報告」だ。

 報告書は全体を通して、「拉致監禁」という人権侵害は看過できないとの強い主張が貫かれている。

 第一章「日本の宗教事情の概観」は、英国マンチェスター大学のイアン・リーダー教授が執筆。日本の宗教や伝統、家族制度を説明した上で、拉致監禁が起こる「文化的背景」を客観的に分析しているのが興味深い。

 四半世紀にわたって日本の宗教を研究してきた専門家で、現代日本の宗教に関する書籍や論文を数多く執筆しているリーダー氏は「(日本では)文化的社会的な理由から、宗教行事やしきたりに従うことが期待され」てきたと強調。続いて「個人の信念より、集団の連帯感」を重視する日本人の生活上の精神性を解説した。

 こうした社会的背景から、日本人の性向として「社会のしきたり(習俗行事や文化の慣習)を尊重しない宗教団体を疎んじるようになった」と指摘。報告書の「論点の整理」は「日本人は伝統的に神道と仏教を軸に、複数の宗教に帰依する傾向がある。そうした多神教文化が根強いために、宗教は個人の信条としてより、家族や一族のアイデンティティーを醸成してきた」と、日本独特の宗教文化を説明している。

 リーダー氏は、かつてキリスト教禁教令が敷かれたことを例に挙げながら、新宗教に対する日本社会の排他性に言及。最近の日本社会でも「新宗教に否定的な傾向が強く」なったとし、「多くの世論調査では、宗教団体が公共の場で布教することに反対意見が広まり、公権力が宗教団体への監視を強めることが広範に支持されている」と、新宗教を排斥する感情が日本で高まっている実情を紹介している。さらに「(新宗教は)いかなる宗教団体であれ、それにかかわることは『危険な』ことと見られるようになった」とも述べている。

 「伝統や慣習に反する教団から社会を守り、可能なら入信者を『救出』すべきだ、という要求が幅広く受け入れられるようになってきた」土壌があるとしながら、拉致監禁へと駆り立てる日本の「村社会文化」を分析した。

 また、報告書の「論点の整理」では「社会全般に新宗教を嫌悪する傾向が広まり、信教の自由を制限してでも日本の伝統文化や慣習を守るべきだという主張が出てきた」ことが暴力的に棄教を迫る拉致監禁につながったと強調している。

 特に統一教会が拉致監禁で大きな被害を受けたことについて国境なき人権は「韓国に由来する新宗教であったため、日本では歴史的理由から反感が醸成されやすい」「プロテスタント教会からは危険な異端と見なされてきた」「(合同結婚式が)日本の家庭文化に抵触して物議を醸しやすい」などの理由を挙げた。

 そして「個人の人権を擁護するはずの国内法規や国際的な人権保障義務を順守しにくい状況ができている」と結論付けている。

(「宗教の自由」取材班)

-つづく-

世界日報・特集 “拉致監禁”の連鎖 パートⅧ   

 

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    いまなお続く統一教会信者への拉致監禁。小冊子やパンフレット、HP等で告知してきた内容をまとめました。

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