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“拉致監禁”の連鎖(189) 北朝鮮問題で注目集めた人権団体
北朝鮮問題で注目集めた人権団体
昨年12月に「国境なき人権」が発表した拉致監禁問題を取り上げた報告書
「拉致行為の被害者に対して、法の下で平等に保護してこなかった事実や、加害者を罰することもしないことは、日本国民に憲法が保障している権利や、日本が国家として遵守すべき世界的な人権規準への重大な違反だ」
「当局がかくも怠慢で、犯罪を罰しようとしないなら、日本に信教の自由があるとは言えない」
新宗教信者に対する拉致監禁問題について詳細に調査した「国境なき人権」は、報告書を発表した際のプレスリリースで、日本の拉致監禁問題が放置されている現状をこのように厳しく批判した。
報告書では拉致監禁行為を指弾すると同時に、拉致監禁を解決するために日本政府などが行動を起こすよう勧告している。
欧州だけでなく世界的に権威ある人権団体の一つとして知られる国境なき人権は、1989年に人権活動家たちによって「ブリュッセル人権」の名で創設された。その後「国境なき人権」に改名し、グルジアやイラク、日本、ロシア、韓国など世界各地の人権団体と協力しながら活動してきた。
97年には数多くの人権団体で構成する組織「国際ヘルシンキ人権連合」に加盟。現在はベルギーの首都で欧州議会のあるブリュッセルに本部を置き、中国、米国、ネパールなどに支部を設けている。
代表者は人権活動家のウィリー・フォートレ氏が務める。
アジアの人権状況に精通していることでも知られ、ほかの人権団体や人権を扱う関係者からの評価も高い。特に最近は宗教の自由、人身売買、子供の権利、少数言語の問題などの監視や調査、分析に力を入れている。ウェブサイトでは自らを「(創設)当初から、国際的なレベルでの人権の分野での監視や調査、分析および国際レベルでの民主主義と法の原則の促進に焦点を当てている」団体だと強調している。
2006年3月には米国の人権団体「フリーダムハウス」やフランスの「北朝鮮住民支援委員会」などと「北朝鮮人権国際大会」をブリュッセルで開き、海外の通信社などが速報したことで人権活動家をはじめ世界各国で話題になった。
09年4月に行われた北朝鮮問題を扱った国連人権理事会の「普遍的・定期的レビュー(UPR)」では、「北朝鮮は政治的、社会的、経済的な国民の基本的人権を守っていない」と批判し「北朝鮮難民救援基金」と連名で北朝鮮に関する報告書を提出。北朝鮮政府に「強制収容所を撤廃するよう努めること」や「人権組織が人権状況を査察することを認めること」などを要求し、大きな注目を集めた。
信教の自由に関連する調査報告では、エホバの証人信者が、韓国で「良心的兵役拒否」の権利を侵害されている実態や、中国で法輪功修練者の「臓器狩り」が行われていることを批判したケースなどがある。
このような世界的に活動する人権団体が拉致監禁の実態を独自に調査し、詳細な報告書として発表したことについて、「全国拉致監禁・強制改宗被害者の会」(後藤徹代表)は次のようにコメントしている。
「日本の拉致監禁・強制改宗問題が国際社会で広く認識されつつありますが、当事国である日本では未だに被害が絶えていません。一人でも多くの国民が報告書に触れ、悲惨な人権侵害の終焉を願う日が来ることを期待しています」
-つづく-
(「宗教の自由」取材班)