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宗教学者・太田俊寛氏が、拉致監禁・強制改宗について問題提起!
『オウム真理教の精神史』、『グノーシス主義の思想』(ともに春秋社)などの著者として知られる宗教学者、大田俊寛(おおた・としひろ)氏が、BLOGOS (NHN Japan 株式会社が運営する日本最大級の提言型ニュースサイト)編集部によるインタビュー記事 で、日本の拉致監禁・強制改宗問題について言及しました。
インタビューは、BLOGOSとSYNODOS の共同企画である「SYNODOS×BLOGOS:若者のための『現代社会入門』」のシリーズ上で、「研究者には『オウムとは何だったのか』という問いに正面から答えることが求められている」と題し、寄せられた質問に太田氏が回答する形式で掲載されています。
インタビュー後半、「今後の社会は、カルト的な宗教とどのように付き合っていけばよいのでしょうか?」という質問に対し太田氏は、
「最初に指摘しておかなければならないのは、『カルト』や『破壊的カルト』という言葉は、今では一般的なものになっていますが、学術的な概念として定着しているわけではないということです。明らかに強いバイアスを含んだ概念ですので、極力使わないようにしている宗教研究者の方が多いのではないでしょうか」と前置いた上で回答し、その中で拉致監禁・強制改宗問題について
「90年代には、『脱洗脳家(デプログラマー)』と呼ばれるカウンセラーの専門家や、カルトを『邪教』と見なすキリスト教の牧師が、カルトの信者を強制的に拉致監禁し、暴力をも伴う『脱洗脳』によって脱会・改宗させるという手法が横行しました。しかし、近代社会の原則から鑑みれば、こうしたやり方がそのまま許されるということはありません。その後、欧米社会では、カルトを過剰に敵視することに対する反省や批判が行われ、強制改宗の手法は自制されるようになっていったのですが、日本社会においてはまだ、こうした問題が存在していることすら、十分に知られていないところがあります。ジャーナリストの室生忠さんや米本和広さんが、こうした問題を中心的に扱っていらっしゃいますので、ぜひその著作を参考にしていただきたいと思います(米本和広さんのブログ『火の粉を払え』)」と言及。拉致監禁・強制改宗問題が日本に存在する事実を認め、その上で同問題に取組むジャーナリストとして室生忠氏や米本和広氏を紹介し、米本氏のブログも文中にリンクされています。
太田氏は以前にも、経済・経営専門誌『日経ビジネス アソシエ 12年7月号』 におけるインタビュー記事に「論者の推奨」として、米本和広氏の著書『我らの不快な隣人』 の書評を寄せています。
『日経ビジネス アソシエ 12年7月号・表紙』
『我らの不快な隣人』の書評
(写真:BLOGOS)
大田俊寛(おおた・としひろ):1974年、福岡生まれ。宗教学者。
東京大学大学院人文社会系研究科基礎文化研究専攻宗教学宗教史学専門分野博士課程修了。博士(文学)。
現在、埼玉大学非常勤講師。主な著書に『オウム真理教の精神史』、『グノーシス主義の思想』(ともに春秋社)がある。
Twitter:@t_ota