新着情報
“拉致監禁”の連鎖 パートⅥ「『ストーカー』裁判の記録」を終えて(2)
宇佐美氏がKさんを待ち伏せした、と検察の主張する杉並区荻窪のサウナセンター
関係修復の意図なかった宇佐美氏
今回の裁判は審理過程から、初めに「有罪ありき」と推測できたものだった。判決文はそこに持ち込むための材料だけを審理で拾った、とも言える。それほど説得力のある判決からは、ほど遠いものだった。
福士利博裁判長は「被告人は、Kには被告人に対する恋愛感情はなく、被告人と結婚する意思も全くなくなったことを知りながらも、終始、Kに対して強い恋愛感情を有し、Kと会い、どうにかしてKとの関係を修復しようと考えていたことが明らか」と断じ、ストーカー行為規制法に違反するとした。
判決文では、その判断の正当性を固めるため、証人の証言内容を挙げている。そのうちの1人は荻窪警察署の松岡栄太刑事。松岡氏は、公訴事実5の杉並区荻窪のサウナセンターで宇佐美氏が、職業的改宗屋の宮村峻氏、Kさんや元信者らと鉢合わせした時、元信者らの通報で駆けつけた公安担当の警察官で、宮村氏とは親しい関係とされる。この時、宇佐美氏と交わした会話についての証言が次のように要約されている。
「(松岡に)Kのことを今でも愛していると話したが、その一方で、Kは以前と違っていた、Kの目を見てもうだめだと思ったとも話した。また被告人は松岡にKともう一度話をしてみたいので一緒に付いて来てほしいと言い、松岡と一緒にサウナセンターに戻ったが、Kらは同所を立ち去った後だった」。宇佐美氏が「(松岡に)Kのことを今でも愛していると話した」「Kともう一度話をしてみたい」と言ったという個所が、「Kとの関係を修復しようと考えていた」とする解釈の根拠として使われている。
これに対し、宇佐美氏は第6回公判で、
弁護士 警察に対して、愛しているとか、好きだという言葉を言ってますよね。
宇佐美 はい。
と、松岡刑事と話した言葉については認めている。だが、その意味するところは全く違うのだ。
弁護士 それはどういう意味で言ったんですか。
宇佐美 それは、僕の知ってるKさんは素晴らしい人でしたし、みんなから慕われていたし、そのKさんのイメージを思って言ってたことで、今会ったKさんのことをそう言ってたんじゃないんです。(後略)
弁護士 どうして刑事さんに立ち会ってもらおうとしたんですか。
宇佐美 刑事さんといろいろ途中から話を始めて、刑事さんと話しているうちに、宮村さんとかKさんが私のほうを見てにやにやしてたんで(中略)抗議したい、そういう思いが少し冷静になって湧いてきて、松岡さんにそういうふうに言ってみました。
宇佐美氏が松岡刑事に話した言葉の意味は、判決文とはまったく反対の内容である。松岡刑事が駆けつけたサウナセンターでの出来事の経緯を冷静に見極め、常識的に判断すれば、宇佐美氏の証言の方に合理性があることは明らかだろう。実際、宇佐美氏は、この時Kさんの本心を分かって、それ以後、Kさんの消息を求めることはストップしたのだ。
だが、判決文は何の理由も付さず、一方的に宇佐美氏の証言内容を無視した。宇佐美氏に前科はなく、また虚言癖があり、かつて法廷で問題になったというような種類のトラブルもない。
宇佐美証言を一方的に切り捨てたのは、福士裁判長に強い予断があったからだと言うほかない。
(「宗教の自由」取材班)
世界日報〝拉致監禁″の連鎖
http://www.worldtimes.co.jp/special2/ratikankin/main5.html