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2011年12月11日
“拉致監禁”の連鎖(159) パートⅥ 拉致監禁体験者の手記に衝撃
行方不明のKさんを探す中で、宇佐美氏は内科医師・小出浩久氏の手記『人さらいからの脱出』(光言社刊)を読んでショックを受けた。強制棄教・改宗を狙った拉致監禁の犯罪を告発する本は何冊か市販されているが、その中でも小出氏の著書は、自身の体験を基に冷静な目で拉致監禁の顛末を克明に描き出している。
小出氏は、平成4年に、多忙な病院勤務の合間を縫って埼玉県蕨市の実家に帰り、いきなり拉致された。
「親戚のうちの男性たちが私に飛びかかり、家から担ぎ出し、外に止めてあったワゴン車に押し込んだ。(中略)同じ所を幾度も回ったあげく、やっとあるマンションの前で停まった。入り口には見知らぬ若い男女十数人が待ち構えていた」と記す。「若い男女十数人」とは改宗請負人グループのメンバーだったことを小出氏は明らかにしている。
監禁現場には、Kさんが失跡した日からずっと、Kさんの居場所周辺で見え隠れした職業的改宗屋の宮村峻氏が現れ、小出氏に「脱会説得」を繰り返したのである。
小出氏のケースについて、宗教ジャーナリスト・室生忠氏が注目するのは、この時「拉致監禁する側は、ある意味、オールメンバー出演だったということです。拉致監禁、強制棄教が、いかにシステマチックに行われているか、そのプロセス、具体的な構図が登場人物も含め全部出て」(小紙、平成22年7月19日付)いる点だ。
宮村氏のほか、統一教会員の「脱会説得」に関与したと取りざたされる有田芳生参議院議員、統一教会に反対する弁護士グループなどが次々と姿を現しているからだ。宇佐美氏の「ストーカー容疑」初公判の傍聴席には宮村、有田両氏が顔を並べ、じっと傍聴していた。
小出氏の手記の感想について、宇佐美氏は第6回公判の被告人質問で証言している。特に「偽装脱会」の内容に大きな衝撃を受けたという。
弁護士 脱会したと認めてもらうために、どんなことを小出さんはしていましたか。
宇佐美 小出さんは、統一教会系の病院で働いていたんですが、そこで、賃金訴訟などを起こしたり、マスコミなどのインタビューに応じて、教会についていろいろ悪口を言ったりとか、そういうことをやらされて初めて信仰を捨てたと認めてもらえたのです。そしてようやく職場復帰しても、監視付きで仕事をしていたということを知って、びっくりしました。
弁護士 周りの脱会させたい人の言いなりにならなければいけないということなんですね。
宇佐美 そうです。
弁護士 本心では脱会してない例もあるということなんですね。
宇佐美 はい、そうです。
弁護士 そういう本をいろいろ読んだ結果、あなたは偽装脱会していると思っているKさんの状況について、どのような理解をしましたか。
宇佐美 非常にデリケートで、慎重に探さなければいけないと思いました。
(「宗教の自由」取材班)
世界日報〝拉致監禁″の連鎖
http://www.worldtimes.co.jp/special2/ratikankin/111211.html