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“拉致監禁”の連鎖(158) パートⅥ 偽装脱会の疑い強める
偽装脱会し、スキをついて拉致監禁グループの手から脱出した医師の体験手記『人さらいからの脱出』(小出浩久著、光言社刊)
検察官 足立教会で、拉致監禁された青年信者は、30人余りいるんですかね。
中務証人 はい。
検察官 それで、その1割が偽装脱会して帰ってきたということを証言されたんですけど、その1割というのは、要するに3人ですよね。
中務証人 はい。
検察官 その3人が信者として戻ったということなんですか。
中務証人 そうです。
検察官 残りの27人というか、9割はどうしたんですか。
中務証人 もうそのまま、連絡もとれない状況が多いです。
第5回公判で被告側証人として出廷した中務伸人氏。Kさんとは統一教会に通っていたころの信仰仲間だ。中務氏は、弁護人の主尋問後の反対尋問で、Kさんが行方不明になった頃の、所属教会の信者たちの苦難についてこのように証言した。
中務氏は、この時、Kさんについても「教会のときはとても信仰深い人であったので、また多くの人からも信頼されていましたので(中略)まさかそんな短い期間で脱会するとは思っていなかった」と述懐している。
検察官の質問の中にあった「偽装脱会」とは、強制棄教・改宗のため拉致監禁された信者が、監禁場所から逃れるために、悲痛な思いで、偽って脱会の意思を示すことである。その実態は、平成4年から2年間にわたり東京・荻窪、新潟で違法の監禁、強制棄教を迫られる仕打ちに遭ったが、偽装脱会し監禁グループのスキをついて脱出・帰還を果たした医師の体験手記『人さらいからの脱出』(小出浩久著、光言社刊)などに詳しい。
Kさん名義の脱会、婚約破棄の一方的な通知書に対し、宇佐美氏は、Kさんが失跡した当初から、その消息情報を求めKさんの両親宛に何度か手紙を書いたが、返事はまったくなかった。
宇佐美氏は、中務氏が証言した所属教会の被害者信者らを取り巻く苦境を知っており、心配で居ても立ってもいられなかった。その時の心持ちは察するに余りある。しかも、Kさんが行方不明になったのは2人が家庭を持つ、まさにその直前であった。
宇佐美氏は「Kさんは、私の大事な片割れで、そういう嫁ですし、Kさんの信仰心というものも強いから、簡単に脱会するとは思えないし、絶対に確かめないといけないと思いました」と証言している(第6回公判)。
さらに「本当に脱会してるんであれば、むしろさらさらっとした感じで会えるはずなのに、いまだに、なんかこそこそ隠れているような(中略)状態だったので、はっきりと確認しなければ後悔すると思いました」「私に対してのはっきりした意思表示をもらえてなかったということが、一番大きいです」と、Kさんを探した動機を吐露している。
宇佐美氏は、その後平成21年秋、これまで数多くの拉致監禁ケースに絡んできて、“黒幕”と見られる職業的脱会請負人の宮村峻氏と接触。同氏が、Kさんの脱会説得に関与していると確信したのだ。
(「宗教の自由」取材班)
世界日報〝拉致監禁″の連鎖
http://www.worldtimes.co.jp/special2/ratikankin/main5.html