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“拉致監禁”の連鎖(155) パートⅥ 警告なしにいきなり逮捕
警告なしにいきなり逮捕
Kさんが署長宛てに告訴状を出した東京都杉並区にある荻窪警察署 |
同法施行後、全国の警察署はストーカー事案などで相談を受け付ける安全相談窓口を設け、より注意を傾けるようになった。警察庁によれば、昨年(平成22年)、全国で相談があったストーカー事案は1万6176件。これに対し警告が1344件、禁止命令などが41件、検挙したのが229件だった。
ストーカー規制法の対象は、その行為目的を「特定の者に対する恋愛感情その他の好意感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する」として、愛欲や恨みの感情の動機に限定している。差し迫ったもの、悪質なものは別として、動機の点で慎重を期して対応し、まず警告からという場合が多い。
警視庁ホームページのストーカー事件現況欄では「警告実施後、約90%の者がその後の行為をやめていますが、警告後の行為者の動向については、定期的に被害者等との連絡を行うことにより、適切な対応に努めることとしています」と、警告後の被害者側に対するフォローについても説明している。
ストーカー事件として起訴、裁判となった件数については、全国的な統計が見当たらないので詳細は分からない。しかし、有罪判決を受けたケースを見ると、殺傷未遂、殺人などが行われた場合は当然として、それ以外に「おまえの彼氏を殺して、俺も死ぬ」などと被害者に危害を加えることを示唆する言葉を吐き、脅迫などが明らかな場合(平成13年10月福島地裁)などがある。
だが、これらの段階を踏んだ生活安全課の対応に比較すると、Kさんの訴えたケースは極めて異常な展開をたどった。つきまとい、待ち伏せ、追いかけ等のストーカー行為に遭ったのなら、Kさんはその時点で最寄りの交番や警察署に駆け込むなり、被害届けを出すなりして保護を求めたはずだ。
ところが、宇佐美氏との最後の対面から1カ月半以上もたってから、突然に告訴状が荻窪警察署に提出された。この間、宇佐美氏はKさんの周辺に一切現れていないのに、である。
告訴状はあっさり受理され、その後20余日を経て、いきなりの大げさな被告逮捕へと進んだ。その間に、警察の警告は一度もなかった。任意の事情聴取すらも一切ないまま、事が一気に突き進んだ。何とも不自然な逮捕だった。
(「宗教の自由」取材班)