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世界から指弾-日本の人権(17) 「アジア版人権保障制度」を
日韓の宗教指導者らが参加した「信教の自由と人権問題を語る」シンポジウム=昨年12月1日、衆院第1議員会館
「大変な驚きで遺憾です。人々に慰めと自由を与えることが宗教者の使命であり、私自身、国を超え信仰の自由と人権擁護のために尽くさなければならないという思いを新たにしました」――。
昨年11月29日。韓国の現職国会議員3人を含む宗教者、大学教授など30人からなる「宗教の自由と人権問題解決のための大韓民国宗教政治指導者日本訪問団」(代表・イ・ドンハン韓国宗教協議会会長)が来日した。その1人、イ・ギチョル牧師は記者会見の席で、日本で頻発している強制改宗・棄教を狙った拉致監禁事件に牧師が関与していることについて、厳しい口調で非難すると同時に驚いた表情を顕わにした。
一行は4日間の滞在中に、日本の識者、宗教指導者、人権擁護活動関係者、政治家などと積極的に交流し、信教の自由の普遍的価値や強制改宗の違法性などについて議論を交わした。
韓国の宗教人口は総人口の53%余で、仏教が22・8%、プロテスタントが18・3%、カトリックが10・9%、儒教0・2%で構成される(2005年韓国統計庁発表)。各宗教とも国民生活の中に根をおろし、人々の宗教心はおしなべて強いという。
各宗教、特にキリスト教各派は、国内だけでなく海外に対する宣教活動にも力を入れている。このことは数年前、アフガニスタンで伝道していたキリスト教信者たちがタリバンの人質になり、うち2人が犠牲になった事実を見ても分かる。
教団、教派の宗教活動は活発で、知識人だけでなく一般の人々も、人権や信仰の自由の擁護意識は非常に敏感だ。
30日に行われたシンポジウムでは、僧侶のイン・ムクさんが、中国で迫害される法輪功の例を挙げ、同じ志を持った宗教者たちの連帯を日本側の参加者に強く求めた。また韓国ハンナラ党国会議員チョ・ムンファンさんは、人権が国家システムによって保障される、そのあり方について、研究の必要性を熱心に訴えていた。
また翌12月1日には、東京・千代田区の衆院第1議員会館内で「信教の自由と人権問題を語る」日韓有識者シンポジウムが開かれた。日本側からは人権侵害の例として新宗教の信者に対する強制改宗・棄教を狙う拉致監禁被害の現状が報告された。これを受け、韓国の国会議員キム・ソンフィさんは、信教の自由を確保するため、今後、日韓が共同してアジア版人権保障制度の枠組み作りを行うよう提言し、自らも尽力することを約した。
一行は日本の国会議員ら政治家とも懇談し「日本警察当局に対し現在、違法に拉致監禁されて改宗ないし脱会を要求されている人々を捜索して、直ちに解放してくださるよう」求めた要望書を手渡した。
韓国社会ではいま、日本人の強制改宗・拉致監禁問題に対する関心が高まっているのである。
(「宗教と自由」取材班)