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2011年11月27日

世界から指弾-日本の人権(15) 被害女性ら50人が着物姿で訴え


 
被害女性ら50人が着物姿で訴え


 バスから次々と着物姿の女性が降り立ち、いつになく慌ただしい雰囲気のソウル鍾路区の駐韓日本大使館前。昨年3月23日のことである。早速、「拉致監禁者の人権擁護を日本政府に求める」という横断幕が張られ、50人の女性たちが同大使館に向き合った。韓国在住の強制改宗・拉致監禁被害者らでつくる「日本統一教会員の拉致監禁による韓国人権被害者対策委員会」(対策委)の代表らだ。

 「私どもが日本で信仰のために受けてきた迫害と今も続いている被害の実情をお知らせし、私どもの人権を保護してくださるように願います」-。

 被害者たちの陳述書と嘆願書が悲愴な願いを込めて読み上げられた後、当時の重家俊範駐韓日本大使宛てに提出された。

 重家大使に会見はできなかったが、ゲート前で大使館員に嘆願書を渡し、その場で記者会見が開かれた。AP、ロイター、AFP、共同など世界をカバーする通信社の記者やカメラマンが詰め掛けた。

 対策委の江利川安栄委員長は「韓国に嫁入りして暮らしている統一教会の日本人女性信者7千人のうち約3百人が拉致監禁に遭った経験があり、さらに多くの日本人夫人たちが、拉致監禁に遭う恐れがあるという理由から故郷を訪れることができない状況」と訴えた。韓国では大手テレビ局MBCなどが当日夕方5時のニュースで取り上げた他、新聞はじめさまざまなメディアで報道された。

 対策委は翌月の4月21日にも、ソウル市のプレスセンターで記者会見を開いた。韓国在住の日本人の被害者女性2人が報告し「在韓日本人拉致監禁被害者の会」の田中志佳子代表が、日韓両国政府への嘆願書を朗読し、人権保護を訴えた。

 この記者会見の様子は、月間400万件のアクセスがある大手インターネット新聞「ブレイク ニュース」で実況報道された。またロイター通信、韓国大手テレビのKBSとSBSがニュースとして報じた。

 韓国で日本の拉致監禁問題を批判する声が起き、その早期解決を訴える運動に火が付いたのは一昨年末。拉致被害者の後藤徹氏がその年の11月21日~23日に訪韓し、自身の被害体験を報告する集会を持ってからである。この時、韓国在住の被害者との懇談会も行われ、被害の実態が次第に明らかになった。

 再び拉致監禁される恐れから、日本に帰省することができない家庭、今なお拉致監禁の被害の後遺症に苦しんでいる家族、日本人の婚約者を監禁され心の傷を癒やされないでいる韓国人男性……など、被害はいろいろな形で表面化していた。

 さらに後藤氏が一昨年12月6日から17日まで、韓国主要12カ都市で巡回講演。同17日には約100人のキリスト教、仏教、イスラム教の宗教指導者が参加し、「超宗教フォーラム」(韓国宗教協議会後援)がソウル市で開かれた。

 その中で後藤氏は、被害体験と拉致監禁問題を15分ほど訴えた。後藤氏に与えられた時間は短かったが、被害の信じられないような実態を初めて耳にした宗教指導者たちは、一斉に驚愕し、強い憤りを共有したのである。

(「宗教の自由」取材班)


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