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2011年11月24日

世界から指弾-日本の人権(12) 「過去でなく今日の悲劇だ」


 
「信教の自由と人権問題を語る」シンポジウムで語るウィレム・F・ファン・エーケレン元オランダ国防相(昨年8月3日、東京・千代田区の憲政記念館)


 日本の拉致監禁、強制改宗の被害者たちが欧州国連人権理事会に足を運び人権蹂躙・侵害を訴えれば、欧州からは人権専門家や識者らが、その事実確認のため日本にやってきた。

 欧州11カ国からハサン・ムラトビッチ元ボスニア首相ら25人(スタッフ6人含む)が昨年8月1日から5日間、事実調査旅行(Fact Finding Tour)」で来日した。メンバーは3人の元閣僚、2人の国会議員それに国際人権専門家、宗教指導者、弁護士、ジャーナリストらである。

 到着翌日、早速、メンバーらは、突然連絡のとれなくなった婚約者が拉致監禁により強制的に棄教の説得を受けているとされ、途方にくれる女性らの悲痛な体験談に耳を傾けた。参加者の1人で、著名な国際人権専門家で国際ヘルシンキ人権連合元事務総長アーロン・ローズ氏はその直後、次のようにコメントした。

 「私は被害者の皆さんの証言を聞いて心を揺さぶられ、正直に言って非常に怒っています。悪夢のような状況です。市民の人権を守るために法律が機能していないからです。日本が、国際法の定める義務を一貫して順守している国であると世界から認められたいなら、その解決のために何かがなされなければなりません。放置されると日本の国際関係に問題が生じるでしょう」。

 ローズ氏は、強制改宗が決して遠い昔の出来事でなく、今も被害が続いていて、まさに今日の悲劇だという印象を持った。日本の治安機関に対しても、非常に厳しい指摘をした。

 事実調査旅行のメンバーらが参加し、3日には東京・千代田区の憲政記念館で「信教の自由と人権問題を語る」と題したシンポジウムが行われた。

 その中でウィレム・F・ファン・エーケレン元オランダ国防相は、次のように語った。

 「日本はその人権状況が全般的には良好で、国際社会で信頼できるパートナーではありますが、唯一ネガティブな要素はこの強制棄教の問題です。これはヨーロッパの視点からは、個人の自由の阻害、家庭内暴力として追及されるものですが、日本社会ではまだその認識がなされていないようです。特に問題なのは、メディアが強制棄教・改宗に反対していないことです。日本が人権問題で国際的に高い評価を得たいと思うなら、メディアでこの問題が追及されないといけません」。ソフトな口ぶりながら、鋭い指摘である。

 またアントニオ・スタンゴ・ヘルシンキ人権委員会イタリア事務総長は、暴力が介在した被害者の後藤徹氏のケースを、人権に関する国際規約に反すると非難。「(強制改宗について)NGO〈非政府組織〉や国際社会が実態を調査してステートメントを出すべきだ」と提言した。

 参加した英国人弁護士ら3人も滞在中、問題解決のため精力的に日本の複数の政治家に会い、強制改宗、拉致監禁問題の早期解決を熱く訴えて回ったのである。

 (「宗教の自由」取材班)


過去の記事は世界日報社ホームページでも閲覧できます。
http://www.worldtimes.co.jp/special2/ratikankin/main.html

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