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世界から指弾-日本の人権(11) サイドイベントで被害者ら訴え
サイドイベント会場前で、右から後藤徹、富澤裕子、寺田こずえの各氏(昨年6月2日)
ジュネーブの欧州国連本部は世界保健機構(WHO)など27の国連機関の事務所を抱える大所帯で、その広さもニューヨークの国連本部に次ぐ。会期中、国連の建物内では、NGO主催の人権に関するさまざまなサイドイベントが行われている。拉致監禁の被害者らは、そこで直接、各国の外交官や宗教指導者たちに訴える機会を持った。
昨年6月2日からの第14会期国連人権理事会の間にUPF主催「日本における拉致監禁、強制改宗」をテーマにしたサイドイベントが実現し、日本から被害者代表として後藤徹氏、富澤裕子さん、寺田こずえさんが出席した。会場には、M一等書記官をはじめ約50人の外交官、宗教指導者、現地NGOの人々が集まり、この問題が大きな関心事であることを示していた。
彼らを前にして、富澤さんと寺田さんが被害体験を涙ながらに語り、後藤氏も自身の体験に続き「憲法の保障する基本的人権と信教の自由を遵守する立場から、拉致監禁による強制棄教を日本社会から根絶していただきたい」と訴えた。また米国ICARF(国際宗教自由連合)のダン・フェファーマン会長が、この問題を国際社会に広く知らせ、早期解決に力を尽くすよう決断した経緯などを話した。
後藤氏は1995年に拉致され、東京などで12年5カ月余にわたり監禁された。また富澤さんは、神戸真教会の高澤守牧師の影響を受けた両親らによって97年、鳥取教会を武器で襲撃、拉致され、1年3カ月間監禁された、いわゆる鳥取教会襲撃事件の被害者だ。寺田さんは2001年、韓国から大阪の実家に帰省した時、牧師主導で拉致された。
富澤さんと寺田さんは共に韓国に嫁いでいた。そのため特に寺田さんが監禁された時は、来日した韓国人の夫が、妻の捜索を大阪の警察署に掛け合うなどして、一時、国際問題に発展する気配もあった。
2人とも拉致監禁の加害者を民事訴訟で訴え勝訴しているが、刑事告訴については起訴猶予となった。「拉致監禁されたという事実が民事では確認されているのに、なぜ刑事では起訴されないのか。国家の不手際である」というのが訴えのポイントだった。傍聴したM一等書記官は、被害者の話に真剣に耳を傾け、熱心にメモをとっていた。
サイドイベント終了後、後藤氏ら3人は、ジュネーブにあるプロテスタントのエキュメニカル運動(キリスト教の教会一致運動)を進める世界教会協議会(WCC)本部のあるエキュメニカルセンターを訪ねた。
キリスト教の牧師たちが拉致監禁に関わっている事実が厳然としてある。同センター内で、対応した3人の職員に対し、後藤さんはパワーポイントを使ってその内容を説明。「世界のキリスト教の中心に向かって告発する」というほどの意気込みで、そのキリスト者にあるまじき非道を訴えたのである。
(「宗教の自由」取材班)
過去の記事は世界日報社ホームページでも閲覧できます。
http://www.worldtimes.co.jp/special2/ratikankin/main.html