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2011年10月1日
米国務省2010年下半期 国際宗教自由報告書に日本における拉致問題の報告
米国務省による各国宗教の自由報告書の報告期間は、7月から翌年6月までとなっておりましたが、この度、もう一つの報告書である人権報告書と期間を合わせることとなりました。そのため、調整のための〝つなぎ″報告書が発表されました。(期間:2010年7月~2010年12月)
http://www.state.gov/g/drl/rls/irf/2010_5/168357.htm
日本における拉致監禁に関する箇所は、セクションⅢにて扱われています。
(以下、日本語訳の引用)
ディプログラマーが家族と協力して、統一教会、エホバの証人、その他少数派
宗教の会員を数年間にわたり拉致してきたとの報告があった。報告された件数は1990年代から大幅に減少した。統一教会は、報告期間中に6人の会員が拉致され、そのうち二人は年末の時点で監禁下にあると報告した。報告によると、一人は警察が彼女の両親に事情聴取を行った後に解放された。こうした報告を独自に確認することはできなかった。統一教会が報告を誇張あるいは捏造したと非難する非政府組織(NGO)もあった。家族と専門のディプログラマーにより、自らの意思に反して12年以上にわたり拘束されていたとする統一教会の成人会員は、2008年に解放された。検察は、証拠不十分で本件を不起訴とした。10月6日に、民間人の委員会が刑事起訴をしないという判断を支持した。(訳者註:検察審査会が「不起訴相当」の判断をした)
(以下、英語原文)
For several years deprogrammers working with family members have reportedly abducted Unification Church members, members of Jehovah's Witnesses, and other minority religions. The number of reported cases has declined sharply since the 1990s. The Unification Church reported six members were abducted during the reporting period, two of which remained confined at year's end. One was reportedly released after police interviewed her parents. These reports could not be independently confirmed, and some nongovernmental organizations (NGOs) have accused the Unification Church of exaggerating or fabricating these reports. In 2008 an adult member of the Unification Church was released after reportedly being held against his will by family members and a professional deprogrammer for over 12 years. Prosecutors did not pursue the case citing insufficient evidence. On October 6, a civilian panel upheld the decision not to pursue criminal charges.
米国務省は1999年より、「国際宗教自由年次報告書」を発表してきました。1999年度版の日本に関する報告部分では、「統一教会信者は、教会員に対する強制改宗に関する申し立てに警察が対応しないと主張してきた。彼らはまた被害者が家族らによって拉致された際に警察は法を施行せず、統一教会信者は長期にわたる恣意的な監禁を受けており、それを行っている個人を警察が取り締まっていないと主張している」との報告がなされています。
以来、国務省はほぼ毎年この問題を取り上げてきました。2004年度版には、「同教会は、被害者の親族や強制改宗専門家などによる拉致監禁・強制棄教を、司法当局関係者等が家族問題として判断する傾向があることを、依然として危惧している」という記載がなされています。2008年度版からは4年連続で12年5カ月にわたって拉致監禁された後藤徹さん被害事件について報告されており、2010年度版、2011年度版では異例と言っていいほど詳しく説明しています。
これらの報告は、信教の自由の国、米国が、日本における拉致監禁・強制改宗問題に対して、強い関心を持っている証左として評価される一方、中立性を装うため昨年度から加えられた「こうした報告を独自に確認することはできなかった。統一教会が報告を誇張あるいは捏造したと非難する非政府組織(NGO)もあった」との記載については、深刻な人権侵害に対する米国務省のより真摯な真実究明の姿勢が望まれます。