新着情報のページです。統一教会の信者に対する、拉致監禁・強制改宗について、その根絶を求めます

新着情報


2011年7月15日

藤田孝子さんの命日に、キリスト教牧師らに抗議文送付/「被害者の会」一同


「全国 拉致監禁・強制改宗被害者の会」では、拉致監禁という犯罪行為をともなう深刻な強制改宗について、その根絶を訴えてきました。

それは、被害者たちの悲痛な叫びが存在するが故です。

 過去に、壮絶な監禁状態の中絶望し、監禁下で自らの短い生涯に幕を下ろした一人の女性がいます。彼女は、自ら命を絶つ程の悲惨な体験を、誰にも伝えることができなかったのです。

 彼女の命日から14年目となる今年7月13日。「全国 拉致監禁・強制改宗被害者の会」は、過去に拉致監禁・強制改宗事件への関与が報告された基督教牧師、また信じ難いことに、現在も関与し続けている基督教牧師に対し、抗議文を送付しました。


 その総数は実に86通。この抗議文が、イエス・キリストの愛の掟に従う彼らの良心を訪ねることを祈ります。


以下、藤田孝子さんの経歴、および抗議文を掲載いたします。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◆藤田孝子さんの略歴

1970年7月5日、愛媛県新居浜市生まれ。

  京都にある華頂短大社会福祉学科に入学直後、統一原理を紹介され入教。

95年8月25日に韓日祝福(36万双)を受ける。

96年12月、韓国で家庭を出発。

97年3月、一時帰国した際、拉致監禁される。

97年7月12日朝、監禁先の京都のマンションのトイレで自殺を図り、運ばれた京都・西陣病院で13日早朝、死亡(享年27歳)。

2002年6月、霊界祝福を受ける。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



2011年7月13日
抗議文


一.序文 

 いまだに統一教会信者に対する拉致監禁を指導し、監禁下で脱会説得を続けている方々、および、かつて拉致監禁による強制棄教を主導していた方々へ。

 統一教会の信者を、拉致監禁して脱会させるように説得するという事件がいまだに続いています。このことの専門家でいらっしゃるあなた方はこの行為の違法性について十分に理解していらっしゃると思います。表面には出てきませんが、あなた方が背後で指導、教唆しながら行われているのが拉致監禁です。私たちは、あなた方の指導を受けた親族に拉致監禁され、あなた方から強制説得の苦しみを受けた被害者です。あなた方にその拉致監禁をやめていただきたいという切なる思いから、この文を書かせていただきました。

 7月13日は、京都で拉致監禁中に自殺に追い込まれた藤田孝子さんの命日です。私たちはこうした悲劇は再び繰り返されないように、との強い思いを込めて、この日付に抗議文を送付するものです。

かなりの長文となりましたが、これまであなた方が行ってきたことに対する当然の義務として、最後まで読み、きちんと受け止めていただきたいと考えております。


二.拉致監禁の実態とあなた方の責任

 1966年、荻窪栄光教会(日本イエス・キリスト教団)の牧師館で始まった強制説得はそれ以降、統一教会の信者を逃がさないために、そして信仰を破壊するまで説得し、確実に脱会させるために、ありとあらゆる方法が生み出されてきました。そしてそのような拉致監禁、説得のための知恵とノウハウは全国のあなた方キリスト教牧師に伝播され、共有され、蓄積されてきました。

 このように、あなた方は、拉致監禁、説得に対するたいへん豊富な情報と経験を持つゆえ、例外的なものを除けば統一教会信者に対する拉致監禁の全てはあなた方を中心に行われてきたのです。最近は件数が減ったとはいえ、多い時には統一教会信者が一年間に370人、なんと、日本のどこかで1日1人以上が拉致監禁され、合計では4000人以上もの統一教会信者の拉致監禁が発生し、あなた方はそれを背後から指導してきましたし、脱会説得には直接にかかわってきました。そして、あなた方は、拉致監禁の数を重ねるごとに、その方法において巧妙さと悪質さを増し加えていきました。以下、その実態について述べていきます。

 

1.監禁場所について

 まず、監禁場所についてですが、あなた方は監禁に都合のよいマンションなどの一室に専用の部屋を借りるように家族や親族を指導しました。その上で逃げられない工夫を伝授しました。普通、すべての住宅の玄関ドアや窓のカギは、外からの侵入者を防ぐためのもので、外からはカギがないと開けられませんが、内側からはカギがなくても簡単に開くようにつくられています。ところがあなた方は内側からの脱出を阻止したいので内側から開かないようにカギを取り付けたりして、外へ逃げられないように改造しなければなりません。

 玄関ドアのカギは、カギそのものの構造を変えると所有者との問題が発生しやすいので、もともとあるドアチェーンを掛け、そのチェーンの長さを短くしてはずす余裕がなくなるように南京錠をとりつけてしまえば、ドアは内側から開かなくなります。そして南京錠のカギを隠して保管すればいいわけです。非常に簡単な工夫ですが、そうそう簡単には思いつくことではありません。しかし、私たちは全国各地で同じように細工されたカギの部屋に監禁されたのです。
 
 また、監禁用に改造された部屋は、ある信者の脱会説得が終わった後、そのまま別の信者の監禁説得のために引き続き計画的に使用されます。このことは、私たち監禁被害者同士が確認している事実です。なぜ、同じ部屋が繰り返し使用されるのかと言えば、もちろん、監禁説得用に改造する手間が省け、また、繰り返し使用することで、確実に脱走を防ぐための知恵と教訓がその監禁部屋に蓄積されるからです。

 窓が小さかったり部屋が高いところにあると窓から飛び降りるなど脱出することはできないにしても、窓ガラスが開けられれば「助けて」と書いた紙ヒコーキを外にまかれたり、「どこそこの統一教会に連絡をしてください」と書かれた紙をまかれたりもしました。ですから窓ガラスが開いては困ります。また窓ガラスが開けられなくても透明であれば外に向けて「助けて」と書かれた紙を見せるなどの行動をとった信者もかつていました。こういう経験から教訓を得て窓ガラスは開けられないように施錠しておくのはもちろんのこと、透明でないくもりガラスにしたり、ベニヤを張ったりするようにと詳細な指導までするようになったのです。


2.拉致の方法について

 さて、次は統一教会信者を拉致する方法についてです。一番簡単に拉致できるのは、本人をだまして監禁予定の現場まで足を運ばせるという方法です。「親戚が新しく引っ越す家を見に行こう」とか、「兄弟がアパートを新しく借りたので、そこに行こう」などと、本人が信じやすいウソの理由をつけて、家族一緒に監禁場所まで連れて行くこともよくありました。そしてその部屋に本人が入った時に逃げられないようにしてしまうのです。

 それができない場合には、本人が帰省した時など実家にいる機会をねらって、実家から無理やり移動させる方法を採ります。ところが、こういった方法で拉致を決行して、一度失敗すると、その信者は再び拉致監禁されるのを恐れて、家族との接触を避けるようになります。そうなったケースに対して、あなた方は、路上拉致という方法を指導するようになりました。

 路上で信者を拉致するのは非常に大変であり、危険も伴うことでしたが、あなた方はどんどん上手になっていかれました。どのようにしたら信者の路上拉致に失敗しないのか…、昼がいいのか夜がいいのか、その信者を事前に一定期間、尾行、追跡、観察して行動パターンをつかみ、最も拉致しやすい時間帯と場所を選びます。多くの場合、夜、人通りの少ない道を歩いている時を狙いその場所に何人か待機させ、その場所に本人が来たタイミングにあわせて車を横付けして、車の中と外からいやがる本人を無理やりにでもすばやく車に乗せることができるのに十分な人数を準備しました。車は本人が抵抗しても車に乗せやすいようにドアが大きく開くワゴン車を用いるようになり、携帯電話がさほど一般的でなかった時代からたくさんの携帯電話を惜しみなく使って、連絡を密にとり、車や人員をタイミングよく動かしていく大切さを習得されました。

 また、監禁現場に連行する際には、拉致した本人を逃げられないようにするために、車内ではドアから離して座席中央に乗せるのはもちろんのこと、必死で抵抗することを予想してロープで縛ったり、手錠を使うことまでしました。監禁場所まで長距離を移動するのに簡易トイレを用意して本人にはそれで用を済ませるようにさせました。たとえ、女性でも容赦しません。これほど屈辱的な体験はありません。あなた方がこのような指導をするのは、もちろんトイレのために途中で車から降ろして、逃げられた経験を知っていたからです。

 そのようにして、車が監禁のために準備した建物に到着すると、どうしても車から降ろして、監禁部屋まで連れていかなければなりません。この時本人が逃亡をはかる危険性が高いので、車の到着地点には多くの人員を配置して、本人の逃亡の意図をくじく必要がありました。実際には3、4人いれば逃亡は防げるでしょうが、本人が周囲に助けを求めたり大声を出したりさせずに監禁場所まで問題なく連れて行くためには人数は多いほうがよく10人、20人の人員が動員されるのも決して珍しいことではありませんでした。その中には、あなた方が主催する父兄会などの組織から手配された見知らぬ人も含まれていました。さらにこれだけの準備をしても、実際の拉致は本人が必死で抵抗するので、短時間のうちに各自が決められた役割をタイミングよく実行していくことは、非常に難しいものです。それで拉致計画が決まれば、本人と体格が同じくらいの人を選んで、組織を挙げて拉致の予行演習をします。そこで本人役の人が全力で抵抗しても、スムーズに拉致ができるのかどうか確認しておくわけです。路上拉致は、多くの場合これだけの用意をして準備万端整えて実行されていたわけです。
 

3.前代未聞の拉致監禁犯罪組織

さて監禁が実行されている期間、自宅はもぬけの空になりますがその間、たとえば郵便物をどう処理するのかということも大事です。時々帰宅してたまっている郵便物を回収すればいいのですが、それができなければ郵便局に転送願いを出すことになります。ところが転送先の住所を監禁場所の住所にすると、そこから監禁場所が発覚してしまう危険性があるので、協力できる人の別の住所にしておくなど、あなた方は経験を積みながら、実に細やかに指導されます。

 まだまだ数多くの知恵と工夫があります。こうしたあなた方の知恵と工夫の集積が統一教会信者の拉致監禁と棄教脱会の精度を高めたのです。あなた方の指導を受けるということは、そうした非常に多くの経験によって培われた知恵とノウハウを伝授されることになります。

 この統一教会信者の拉致監禁事件を捜査したある刑事の方が、「これは素人のやったことではない、犯罪のプロのしわざだ」と、あまりの手際の良さに舌を巻いたとのことですが、それも当然です。全世界の犯罪組織の中でも年間300件もの誘拐もしくは監禁を実行してきた組織があるでしょうか。北朝鮮による日本人拉致でさえ政府が認定したもので17人、疑いのあるものをすべて含めて最大に多く見積もっても500人を越えません。ところがあなた方日本のキリスト教会の一部牧師たちは、1年間で多い時には、370人、すべてをあわせてみると4000人以上の統一教会信者の拉致監禁に直接的もしくは間接的にかかわってきたわけです。誘拐、監禁の件数でいえばあなた方キリスト教会の牧師たちが、世界一の犯罪行為を指導した集団になるわけです。そういう膨大な数の経験からうまれた知恵とノウハウなくして統一教会信者を棄教させる監禁行為を長期間にわたって行うことは不可能に近いことです。


4.あなた方の責任

 以上、述べましたように、統一教会信者を脱会させるための拉致監禁は、あなた方の直接的または間接的な指導、容認、教唆、そして直接的な説得がなければ、ほとんどあり得ないことです。

 繰り返しますが、統一教会信者に対する拉致監禁による強制棄教の実質的首謀者はあなた方なのです。ですからあなた方が拉致監禁を目論み、指導することをやめれば、ほとんどの監禁事件は終わるのです。私たちは、その日が一日も早く訪れることを切実に願っています。私たちにとって拉致監禁の体験は、死ぬほどの苦しみでした。その苦しみのあまり、監禁中、自死を真剣に考えた人もたくさんいますし、実際に亡くなった人もいます。私たち拉致監禁の被害者は、真の実行者であるあなた方に対して、これまでの恐ろしい行いを直視し、自らの責任を自覚し、拉致監禁を目論み、教唆し、親や親族に実行させるようなことを即刻やめるよう、通告します。

 
三.拉致監禁を正当化する弁明に対する反論 

 ところで、これまであなた方の責任によって主導されてきた拉致監禁をやめていただきたいと要請すると、あなた方は、「あれは拉致監禁ではなく保護説得であり、救出カウンセリングである」と反駁され、その正当性についておおよそ以下の①~⑥ように弁明されるのを今までいろいろなかたちで聞いたり読んだりしてきました。

① 親が泣いて頼むので仕方がない

② 客観的にみれば冷静な話し合いに過ぎないのに監禁だというのは言い過ぎだ

③ 破壊的なカルトにマインドコントロールされている信者を脱会させるには、素人では不可能。専門家であるカウンセラーの指導を受け、保護説得するしかない

④ 統一教会が異端のカルト宗教であるから仕方がない

⑤ 統一教会は反社会的な犯罪集団であるので、多少の無理は仕方がない

⑥ 異端である統一教会をつぶすために、そしてそこから多くの人を救い出してきた努力は、信仰者として貴い努力である
そこで、ここからは、その主張ひとつひとつを取り上げ、それに対する私たちの反論をお伝えいたします。



 親が泣いて頼むので仕方がないという主張について 

 拉致監禁をやめるよう要求すると、まずあなた方の中には、あれは親がやっていることであって私には関係ないなどと弁明する方がいますが、事実はあなた方が陰で主導権を持ち、細かく指示していることは、監禁中、家族がメモや電話で必死にあなた方の指示を仰ぎ、それに従って言動を二転三転するのを目の当たりにした私たち被害者はよく知っています。

 そして関与を否定できなくなると、親が泣いて頼むので仕方なく手伝っただけだと言います。監禁下での説得で私たちが自由を奪われ、苦しみと憤りのあまり、時に泣くのは無視して、親が泣いて頼むので犯罪でも容認するということでしょうか。

 そういうことならば逆にお聞きします。あなた方が牧師という職業を選んだ時に、全員が親からの全面的な承諾と賛同を得ていたのですか。反対を押し切るかたちで牧師の道を選択してこられた方も多いはずです。それは、クリスチャンの方々の伝記を読んでもよくわかります。日本の歴史の中で、キリスト教こそが家族の絆の問題で苦しんできた宗教だといえると思います。そのように家族の絆に苦しめられた経験をもつキリスト教が、家族の絆を理由に統一教会の信者・家族を陥れるのですか、とお聞きしたい思いです。

 草創期の統一教会では、ほとんどの信者が献身的な生活をするようになったので、ある意味では親が嘆くのも当然でしたが、今日では、一般企業に就職したまま、信仰生活を送るのが一般的になっています。信者とはいえ、親と同居していたり、一般企業に勤務して普通に暮らしているわが子を見て、なお自発的に監禁を決意する親は多くいないはずです。

 監禁をはじめれば脱会させるまでに普通、2、3ヶ月、どんなに短く終わっても1ヶ月、長ければ1年以上はかかります。こうした期間、欠勤が続けば、ほとんどの会社は辞めなければならなくなります。事実、1990年代には、一般企業に勤務していた信者が、監禁により解雇され、それを機に統一教会の職員になったというケースが多数あるのが実情です。また実家に住んでいたのに監禁されてしまって、行きがかり上やむをえず実家を出るようになった人も多数います。

 すなわち監禁が実行されると、脱会説得がうまくいってもいかなくても職場は確実に解雇され、脱会説得がうまくいかなければ、親子関係がこじれ疎遠になってしまうわけです。そのような非常に大変な拉致監禁による強制棄教の実行を決心するまでに、親や親族は、あなた方からひどい情報を叩き込まれ、不安を煽られ、どれほど追い詰められているのかということです。

 さらに脱会した元信者をつかって、「お宅の子供は、犯罪を犯している」などと親の不安を煽り、救出つまり拉致監禁を促しているのを見ると、この親が泣いて頼むので仕方がないという理由は嘘です。このあたりのことを取材してブログにしているジャーナリストもいます。

 現実はこのように、親が泣いて頼むので仕方がないのではなく、親を泣かせるようにしむけているのに過ぎない状況になっているのではありませんか。本当に私たちの家族のためを考えるなら、このような異常な働きかけと拉致監禁はやめるべきではありませんか。


② 客観的にみれば冷静な話し合いに過ぎないのに監禁だというのは言い過ぎだという主張について

 ①のように反論するとあなた方は、そもそもあれは拉致監禁ではなく「単なる話し合い」だと主張されます。だとすればあなた方は、専門家と自称しながら、あなた方の立場と監禁された立場の人間の間にある心理的制約について、あまりにも無頓着過ぎます。これは、世間で頻発している虐待事件で、加害者が子供を虐待しながら「単なるしつけ」と自己弁護するのとほぼ同じです。

 あなた方は、はじめに本人を拉致して連れてくる段階、そして監禁し始めた段階では、多少の無理があっても、その後は普通の話し合いであると感じていらっしゃるのではありませんか。しかし監禁された私たちの立場から言うとまったく違うのです。はじめの監禁された段階においての暴力はもちろんのこと、たとえ静かな空間のなかにいたとしても、その空間は常に監禁という暴力の支配下にあるのです。監禁された人が笑っていたとしても、冗談を言っていたとしても、どうすれば早くここから出られるのか、自由になれるのかという極めて深刻な問題が常に頭の片隅にあるのです。

 あなた方と監禁部屋で話をする時もそうでした。はじめは、理不尽な説得方法に抗議したり、あなた方の主張を糾弾したり、質問したりしますが、そうしたことを繰り返していても自由になれないことを感じると、あなた方の意見に対して、明らかにおかしいと思う点や質問したいことがあっても、反論も質問もしないようになっていくのです。もしくは喜ばれる程度の質問だけをしていくようになるのです。

 よくあなた方は監禁現場で我々に対して、
「あなたの思っていることを言いなさい、君の言いたいことを言っていいんだよ」と言っていましたね。しかし、これほど人を愚弄した話もないのです。あなた方の意に添わなければ、決して自由にはなれないのですから、思っている通りになど話せるわけがありません。従って、すべての会話のレベルが下がります。あなた方に気に入られて早く自由になるためです。

 さらにあなた方は、拉致監禁を実際に行う信者の両親など家族や親戚に対しても誤解しています。はじめて拉致監禁という犯罪を犯し、今さら部外者に相談することも引き返すこともできない中で、家族が監禁中に頼れるのは、罪に問われないような巧みなテクニックを豊富に持ったあなた方以外になく、しかもあなた方は、統一教会信者を説得して脱会させることのできる希少な専門家であると信じさせるのに成功していますから、あなた方の気分を損ねてわが子の説得から手を引かれたらどうしようと不安でいっぱいになって、文句があっても黙って全面的に信頼したように振る舞うのです。

 すなわち監禁中、あなた方の目の前には、あなたに反抗したら監禁が長引くと思って恐怖に震えている統一教会の信者と、脱会説得は専門家(であるあなた方)頼みという状況の中で、あなた方の顔色をうかがっている家族しかいないのです。

 また、あなた方は、自分の説得を受け脱会した信者たちを引き連れて監禁場所を訪れて、彼らをバックコーラスのようにして脱会の正当性を唱えることがありますが、彼らもまた、あなた方に本音で文句を言うことのできない人たちです。なぜなら、脱会表明と共に、「やめさせてくれてありがとうございます」という意を示さなければ脱会が信用されず、監禁を解いてもらえないので、あなた方への文句は出てきません。

 さらにまた、信仰を棄てずに監禁から統一教会に逃げ帰った人にとっては、あなた方は恐怖の拉致監禁魔であって、二度と会いたくない場合がほとんどなので、あなた方はこの人たちからも非難を聞く機会がなかったわけです。

 このようにあなた方は、拉致監禁により受けた死ぬほどの苦しみや憤り、はらわたが煮えくりかえるほどの怒りをほとんど聞く機会もない上に、拉致監禁に関して後で問題になりそうな部分は、信者の家族もしくは家族会にやらせているので、犯罪を主導しながら、罪の自覚が薄いのです。それであなた方はご自分のされている行為を省みることもできず、問題の重大性が見えなくなっていると思わざるを得ないのですが、いかがでしょう。この手紙を機会に、ぜひ、この拉致監禁が被害者本人とその家族にもたらす被害の重大性を悟っていただきたいと思います。


③ 破壊的なカルトにマインドコントロールされている信者を脱会させるには、素人では不可能。専門家であるカウンセラーの指導を受け、保護説得するしかないという主張について 

 この主張が正しいかどうかについて言及する前に、確認しておくべきことは、統一教会を破壊的なカルトであると規定して、そこからやめさせることを絶対的な善であるという前提がこの主張の裏に隠れているということです。こういうことが簡単に前提になってしまうのが統一教会に対するあなた方の認識なのでしょうが、その社会で人気のない宗教であれば、あなた方は破壊的カルトなどとネガティブなイメージのラベリングをし、その信者に対する拉致監禁行為を容認するのかと逆にお尋ねしたいと思います。

 また、あなた方は、「信者を脱会させるには、素人では不可能。専門家であるカウンセラーの指導を受け、保護説得するしかない」と言いますが、もちろん監禁を行うにあたっては、あなた方のような経験豊富なプロの指導がなければスムーズにいかないのは確かでしょう。それは前述のとおりです。しかし拉致監禁しなくても脱会する場合はいくらでもあるのです。統一教会のセミナーに出ても入信しない人は数え切れないほど多くいますし、監禁されなくても入信した後に統一教会をやめていく人は多いのです。ただ熱心に信仰している人は監禁されてもなかなかやめないでしょうが、そうした個人差はどこの宗教団体でもみられることで、統一教会特有の現象ではありません。また逆に脱会を専門とするカウンセラーの指導を受け保護説得したとしても、つまり拉致監禁して長期にわたる説得をしても、やめない人も実は予想される以上に多いのです。つまり、「カルトである統一教会からの救出方法は、監禁してカウンセリングするしかない」というのは、事実ではないということです。

 それでもなお、あなた方がどうしてもカウンセリングと称して、統一教会の信者をやめさせる活動に従事したいのならば、両者の合意のもとで、自由な立場での話し合いや説得を行うべきであること、さらに、カウンセリングの事実内容を公開されることが、正当なあり方であることを強調しておきます。 


④ 統一教会が異端のカルト宗教であるから仕方がないという主張について 

 ③においてあなた方は、脱会説得のカウンセリングなるものを正当化するのに、統一教会がカルトであることを理由にされています。ところで、統一教会へのカルト視は、もともと、異端を差別化するという宗教上の目的で、意味のあいまいなまま蔑視を込めてラベリングしたことに端を発しています。過去の歴史において、あなた方と同じ考え方によって、キリスト教の異端をつぶそうとした人が大勢いました。異端審問官と呼ばれる人々です。その人々がはじめは異端を裁いていたのが、どんどんエスカレートしてきて魔女狩りをやるようになったのです。その当時、彼らはそれを正しいことだと信じて行いましたが、今から考えるととんでもないことでした。

 まず何が正しい信仰であり何が間違った信仰なのかという基準を人間がつくっていくこと自体が傲慢なことだったでしょう。その当時異端とされたもののなかでも見るべき内容が多くあることはご存知のことと思います。また仮にその基準が正しいと仮定して、間違った信仰に陥っている人々を救うためだったとしても、努力した結果その異端の人々を改宗できなかったのならば、そこであきらめるべきでした。もしくはひたすらに平和的な方法で彼らのいうところの正統なキリスト教信仰に戻すように説得すべきであったでしょう。しかし彼らは国家権力を使い、武力を使い、強制的に改宗させようとするようになり、さらには改宗させることをあきらめて異端者を処刑するようになっていきました。それが後には魔女狩りとなり、多くの虐殺をもたらしました。

 あなた方の統一教会に対しての態度と非常に似ていませんか。統一教会の信者が間違った信仰に陥っていると感じて救ってあげたいと思う気持ち自体は理解できなくもありません。しかし、そうであれば、最後まで平和的な方法で説得を試みるべきでしょう。どんなに時間がかかろうとも、失敗することが多くとも、平和的な方法で統一教会信者に接してきていれば、統一教会の内部にいて悩んでいる信者などが自由に相談に行くようになったかもしれません。しかしあなた方はそういう平和的な方法を選択されませんでした。平和的な説得だけではうまくいかないと感じると、拉致監禁という暴力を使うようになり、正しいと信ずる信仰に導くことが難しくなると、統一教会の信仰を破壊するだけのただの破壊者になってしまったのです。信仰という魂の奥底に大切にされている宝物を破壊してしまうのです。もちろんあなた方の説得を受けてキリスト教に改宗する統一教会信者もいるのは私たちも知っていますが、それはさほど多くありません。結局、統一教会の信仰を失っただけだという人が多いではありませんか。つまりあなた方は異端者を改宗させることをあきらめて、異端者の魂の破壊を行っているわけです。その体験を消化できる強い人もいますが、PTSD(心的外傷後ストレス障害)という深刻な後遺症を残す人もまた多いことは、ご存知のとおりです。

 
⑤ 統一教会は反社会的な犯罪集団であるので、多少の無理は仕方がないという主張について

 もしもあなた方が統一教会を犯罪組織だと本気で思っているのならば、統一教会信者を拉致した段階で警察に引き渡すか、自首を勧めるべきです。とりわけ、本人があなた方の説得を受け入れて統一教会の信仰を棄て、脱会を決意した段階で、自首を勧めるべきでしょう。しかし、あなた方は、統一教会が犯罪組織であるから統一教会信者を保護説得(拉致監禁)してもいいのだと主張しながら、統一教会信者が脱会しても警察に引き渡すこともしなければ本人に自首を勧めることもしていません。そういうやめたばかりの元信者は、まだ統一教会の犯罪性が自覚できないのだとすれば、あなた方の中に元統一教会の信者が何人かいらっしゃるのですから、せめてその方々が警察に出頭したらいかがでしょうか。もしもそのようにして刑事罰でも受けることになれば、自分の身を犠牲にしてまで統一教会の犯罪性を立証したことになるはずです。

 統一教会は犯罪者集団であると主張する、あなた方一部キリスト教牧師の方々こそが、刑法第220条逮捕及び監禁の罪を犯し続けてきた犯罪者集団です。そしてあなた方もこれが犯罪行為であることを自覚しておられるがゆえに、信者の両親、家族、親戚、家族会などを拉致監禁の前面にたてて実行し、ご自分は背後に隠れようとしているのです。

 もしも、あなた方が、ご自分で教育、指導していることが救出カウンセリングであり、決して刑法上の犯罪行為には該当しないと強弁されるのでしたら、ご自分が先頭に立って統一教会信者の救出に加わったらいいではありませんか。しかしそれはされないわけです。あなた方のその狡猾な行動自体がその犯罪性を実証していると思いますが、いかがでしょうか。あなた方の良心が少しでも痛むのであれば、このような拉致監禁による脱会説得はおやめになったらいかがでしょうか。


⑥ 異端である統一教会をつぶすために、そしてそこから多くの人を救い出してきた努力は、信仰者として貴い努力であるという主張について

 日本のキリスト教界では、拉致監禁を指導し、説得活動をする牧師に対し、異端から救うことは信仰者として貴い努力であるとして、いまだ表だって議論されないまま、放任されているのが実情のようです。ここで仮にあなた方の主張に沿って、文鮮明師が偽キリストであり、かつ異端である統一教会は反社会的な滅びるべき宗教団体だったとして、統一教会がその反社会的な活動によって、多くの人の信頼を失ってきて自滅の道を行こうとしているというのならば、それと同様に、犯罪であり、もちろん反社会的である拉致監禁というあなた方の行為によってキリスト教全体のイメージが損なわれ、キリスト教もまた自滅の道を行かなければならなくなるのではないですか?

 仮に統一教会が本当に悪であったとしても、そこから信者を脱会させるためとはいえ、ご自分が悪になってはいけないのではありませんか。統一教会が悪であるから自分も悪になってかまわないというのならば、キリストの正義と愛はいつ実現されるのでしょうか。そしてそういう方法で本当に拉致監禁被害者や家族が救われるとお考えですか。あなた方のしてきたことは、統一教会を正し、統一教会信者やその家族を救うことではなくて、かえってあなた方のキリスト教会を汚すことになってしまったのではないでしょうか。



四.拉致監禁を即刻やめること、そして今まで行ってきた拉致監禁についての真相告白と謝罪を要請します

 長文になりましたが、最後にぜひとも次の事に思いを馳せてみて下さい。

皆様の愛する主イエスが、異端の宗教の信者を救うためだと称して、統一教会信者本人の意思に反して拉致監禁し、自由を奪い、強制的に棄教させるという、皆様が今まで行ってきたことを見つめながら、果たしてそれを称賛され喜ばれているでしょうか。このことをよく考えてみていただきたいのです。

またあなた方が生命視する聖書に、あなた方が今まで行ってきた強制的な説得方法を支持する、あるいはその根拠となる記述があるのですか? だとすれば、その聖句を私たちに示して下さい。

あなた方がもし、本気でキリスト者としての誇りを持ってやってきたとおっしゃるのならば、あなた方が「保護説得」と呼び、私たちが「拉致監禁」と呼んできた一連の出来事について、あなたが行ってきた事実をこれ以上隠さないでください。

 私たち被害者としても、1日も早く、日本での統一教会信者の拉致監禁がなくなるために、親子の関係のありかた等、家族間の相互理解と信頼回復のために、率直な話し合いをはじめています。この問題の一面である家族との関係改善のために、私たち被害者は、今後一層の努力を重ねる所存です。私たち拉致監禁被害者は、ここに、その実質的首謀者であるあなた方に対し、拉致監禁による強制説得を即座にやめ、今後一切しないこと、そして今まで行ってきたことへの真相告白と謝罪を要請するものです。 


以 上

全国 拉致監禁・強制改宗被害者の会 被害者一同
  • 我らの不快な隣人

    ルポライター米本和広氏が、拉致監禁によって引き起こされたPTSD被害の実態をレポート。

    ►第6章 掲載
  • 人さらいからの脱出

    世にも恐ろしい「人さらい事件」に関わった弁護士、牧師、マスコミ人らの非道な実態を実名で白日のもとにさらす。

    ►書籍紹介
  • 日本収容所列島

    いまなお続く統一教会信者への拉致監禁。小冊子やパンフレット、HP等で告知してきた内容をまとめました。

    ►書籍紹介

URLから
http://kidnapping.jp/m/
QRコードから